高専のススメ

こんにちは、トクイテンの森です。
東京も肌寒さも残る中、徐々に春めいてきました。週末は梅の花でも見てこようかなと思います。
今日は教育の話というか、自分の子供時代と最終的には高専のすすめみたいな内容です。
日本ロボット学会研究奨励賞を受賞した際に東京大学の恩師國吉康夫先生と撮った記念写真(2010年度日本ロボット学会学術講演会にて)
日本ロボット学会研究奨励賞を受賞した際に東京大学の恩師國吉康夫先生と撮った記念写真(2010年度日本ロボット学会学術講演会にて)

頼むから嫌いにさせないでくれ

最近、共同創業者の豊吉との経営ミーティング中の雑談で子供の塾や中学受験などについての話題になりました。自分には子供がいないので子供の教育に関して持論は無いのですが、自分が子供だった当時どう思っていたかなと思い出してみました。
小学生の当時から思っていたのは、「どんな教科でも頼むから強制させて嫌いにさせないでくれ。ほっといてくれ。」ということでした。つまり、「それぞれの教科は後々役に立つこともあるだろうけれど、現時点で成績が悪いからといって自分の好奇心が向いていない時に強制されてしまうと嫌いになって将来学ぶ可能性が無くなってしまう」ということで、「その時の知識や思考力で解決できるかどうかがテストの目的であってテストのために勉強するということが嘘をついているようだからやるべきでない」とも考えていました。生意気な小学生ですね😁
親から勉強しろと言われたことはあまりなかったと思いますが、もしかするとそういった親の声を無視していたことで忘れてしまっているだけかもしれません。

どんな小学生だったか

小学校に入る前から絵本などを読む方で小学校に入ってからは図書館に行ったりして児童書などを読んでいた記憶があります。中でも、今も影響を与えていると思うのは、確か小学校一年の時に母親に買ってもらった「へんしん!スグナクマン」と「わすれものチャンピオン」という児童書で、いずれもそれぞれの特性を肯定したり、自分で解決していくことを教えてくれるような内容で、「あ、今の自分でいいんだ」と感じたのを覚えています。
(今、「へんしん!スグナクマン」のamazonの評価を読んでみましたが、いじめが陰湿で大人の関与がないと批判されていました。まさに自分の置かれていた立場なので、だから共感できたのかと妙な納得感があります。)
忘れ物が多いのも関係しますが単純な暗記力がない自覚が昔からあり、漢字テストで16点をとって再試験を受けたこともありました。ただ好奇心は強い方で、本を読んだり、新聞を毎日すみから隅から隅まで読んだり、テレビニュースを欠かさず見たりといった子供らしくない一面も有ったと思います。単純な記憶力がない代わりに、物事を結びつけると覚えているということは分かったので、新聞のニュースでも何でも関連付ける癖はついていたかもしれません。
筋が通っていないことには敏感で、筋が通っていないことに手がつけられないくらい憤るとともに、論理が分かると納得して感情をコントロールできることも分かったのが小学校5年生くらいだったでしょうか。また、論理が分かるのは一瞬で、地道に集めていた情報が一瞬で結びついて全てがわかった感覚になるということを知っていたのも「放おっておいてくれ!」と思っていた原因かもしれません。現実を理解すれば自分をコントロールできると知ったことは更に情報を集めたり考えたりといったことに拍車を掛けることになったと思います。理由はどうあれ、自発性は何にも代えがたいものだと思います。
余談ですが、同じ頃に手塚治虫から石ノ森章太郎に引き継がれた漫画のアトム博士シリーズで物理や化学のイメージを掴んだことも後々良かったかなと思います。

高専に救われた

テストのために勉強して終わったら忘れるということが悪だと思っていたので、テストの最中に答えを見つけられたときは成績が良いし、見つけられなかったときは成績が悪いという感じでした。小学校では成績は悪く無かったですが、中学校では中程度の成績だったと思います。本人は気にしてないのですが、大人たちは気にしているのが分かったり、成績で値踏みしたり、諭してきたりするので本当に居心地の悪い中学生活でした。
塾などには行かず成績は悪かったものの、テストでわからなかった問題などは印象に残ってずっと忘れずに、考え続けていたので、たいていテスト後の方が理解が深まっていました。何のために勉強するのかを考えれば、その方が良いに決まっていて、当時から今でもそう思っているのですが、当時なかなか理解されなかったのは辛かったです。
自分が住んでいた愛知県では内申点の影響が強いため、自分が信じていたテストにとらわれない学習は進学には不利でした。高専を受験したのは内申点がほとんど考慮されないということが一番大きな要因で、工業高校に行くことも考慮していたので上位互換の高専で問題ないという気持ちでした。やはり受験勉強はしなかったので、両親が買ってきた過去問集などは封が切られないままだったと思いますが、とにかく合格したのでした。(ちなみに、どうしてもロボットがやりたくて第一志望を電子制御工学科としていたものの不合格で、第二志望の電気工学科には合格しました。電気工学科に拾ってもらわなければ豊吉とも仲良くならなかったと思うので、縁というのは面白いものです。)
そういえば、高専入学後に校長から「君たちは生徒でなく学生なのだから自分から勉強してください」という話があり、安心した覚えがあります。これで自由にできると。
これが万人の正解であるとは思いませんが、子供にとって自発性を育むことや質の高い情報環境があることはとても大事なのでは無いかと考えています。大人になってみて難しいことだとは思いつつ、子供達の好奇心の芽を摘んで欲しくないというのがささやかな願いです。